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「高血圧」の病識をもってもらう

薬物治療をするにあたり、
患者さんに正しい病識・薬識をもってもらうことは、
患者さんのアドヒアランス向上に結びつくはずです。

正しい病識を持ってもらうための説明をする際に
ポイントとなることをまとめていこうと思います。

ほぼ基本的なことと思いますので、
復習したい方向けです。

高血圧の基準値は

高血圧と診断されるのは以下の場合です。

医療機関受診時の血圧測定で、
収縮期血圧が140mmHg以上または拡張期血圧が90mmHg以上
を示す場合

2019年に高血圧治療ガイドラインが改定されました。

高血圧基準値は上記で示した数値を維持する形になりましたが、
降圧目標値は130/80mmHG未満へと強化されました。

ちなみに米国では、2017の高血圧治療ガイドラインの改定に伴い、
高血圧基準値「130/80mmHg以上」になっています。

「血圧が高い」。それ自体が問題なのではない。

「高血圧の何がいけないのか」を患者さんに理解してもらう必要があります。

患者さんに伝えるべきポイントは、

高血圧により引き起こされる動脈硬化。
そして、動脈硬化が引き起こす臓器障害・合併症。

この臓器障害・合併症を予防するために血圧を管理すべきである

になりますね。

極論、
血圧がいくら高かろうが頭痛等の自覚症状がなく、動脈硬化が進まなければ良いわけです。

まぁ、そうは問屋が卸さないと思いますが。

高血圧と診断された患者さんのうち、
自覚症状のある方もおりますが、無い方が大部分だと思います。

ですから(自覚症状のない患者さんには特に)、
薬の服用は自覚症状の改善だけではなく、
これからの健康を守るためであることを知ってもらいましょう。

高血圧による臓器障害・合併症にはどんなものがある?

高血圧による動脈硬化が引き起こす臓器障害・合併症。

どんなものがあるのかをまとめた表を下記に示します。

体の部位 疾患
脳出血・脳梗塞、無症候性脳血管障害、一過性脳虚血発作、認知機能障害
心臓 左心室肥大、狭心症・心筋梗塞、心不全
腎臓 蛋白尿、腎障害・腎不全(血清クレアチニン 男性≧1.3mg/dL、女性≧1.3mg/dL)
血管 動脈硬化プラーク、頸動脈-中膜肥厚>0.9mm、大動脈解離、閉塞性動脈疾患
眼底 高血圧性網膜症

「服薬指導のツボ」虎の巻 第3版 147ページ より引用

患者さんにイメージしてもらいやすい疾病は、
脳出血・脳梗塞・狭心症・心不全あたりでしょうか。

初回指導の際、このあたりの合併症を伝えることにより、
アドヒアランス向上が見込めるのではと思います。

加えて、
日本人の死因(平成30年)の第4位に脳血管疾患が挙がっていますので、
このことも患者さんに伝えても良いかもしれませんね。

(参考までに)
厚生労働省による平成30年(2018)人口動態統計月報年計(概数)によれば、
平成 30 年の死因順位は以下になります。
第1位 悪性新生物<腫瘍>
37 万 3547 人(死亡率(人口 10 万対)は 300.7)
第2位 心疾患(高血圧性を除く)
20 万 8210 人(同167.6)
第3位 老衰
10 万 9606 人(同 88.2)
第4位 脳血管疾患
10 万 8165 人(同 87.1)

高血圧と生活習慣

高血圧と診断された、または高血圧に注意するよう言われた方へのアドバイスの参考になる
生活習慣についてまとめてゆきます。

1.食事

塩分の取り過ぎを控える

よく言われるのが6gですよね。
日本人の1日平均塩分摂取量が9.2~11gなので
患者さんがわかりやすいように、半分に減らすようアドバイスしてみましょう。

ミネラルの積極的摂取を

カリウム、マグネシウム、カルシウムに塩分を排出する作用があることを伝えてみましょう。

2.体重管理

肥満の方は血圧が上がりやすいです。適正体重を維持するよう話してみましょう。

<なぜ肥満が高血圧につながるのか?>
体には過食の際に代謝を活発にし、体重が増えないようにするメカニズムが備わっています。
そのメカニズムには肝臓の「調節機能」が関係しています。
その機能は、摂取エネルギーに応じて脂肪の蓄積量を変えるというもの。
栄養をとりすぎ、肝臓に脂肪が蓄積した場合、神経信号が出されます。
その信号が、過食時に交感神経活動を高め、代謝を活発にするのです。
交感神経が活性化すると結果、血圧が上昇します。
肥満の人では、このメカニズムにより交感神経が活性化しやすい傾向がみられます。

参考:日本生活習慣予防協会 「肥満になると血圧が上がる」メカニズムを解明 東北大

3.禁煙

ニコチンの摂取は交感神経を刺激するため血圧が上昇します。
「喫煙本数を減らす・禁煙」を勧めてみましょう。

4.寒さ

寒いと体温が下がらないよう交感神経が働き、血管が収縮します。
結果、血圧が上がります。
防寒対策をし、寒暖差をできる限り小さくするようアドバイスしてみましょう。

5.家庭での血圧測定

医療機関受診時のみでなく、家庭でも定期的に血圧を測定するよう勧めましょう。
血圧測定が習慣になっていれば、血圧が大きく変化した時、早期に処置ができます。

以上で高血圧の病識まとめを終えようと思います。
参考にしてみてください。